倖田來未ライナートーク
『UNICORN』アルバム全曲解説インタビュー
『UNICORN』、カラフルなバリエーションに富んだ19枚目のフルアルバム
倖田來未が、通算19枚目のアルバム『UNICORN』を4月17日にリリースした。大好評のままに駆け抜けた昨年のツアー、『KODA KUMI LIVE TOUR 2023 ~angeL&monsteR』で確立した二律背反するコンセプチュアルな世界観を“このまま終わらせたくなかった”という想いから、虹色のような空想の動物のイメージ=UNICORNをアイコンに、カラフルなバリエーションに富んだアルバムへと仕上げた。全曲解説となるライナートークをお届けしよう。
取材・テキスト:ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)
――近況からお聞きしたいのですが、ツアー後、充電旅行は行かれたんですか?
倖田:去年10月にベガスへ『When We Were Young Festival』っていうロックフェスに行って。その後、巨大な球体型アリーナ、スフィアでU2を観てきました。
――お〜、話題の最新エンタメアリーナだ。
倖田:最高でした! うちの息子も「U2かっこいい!」っていうくらい凄いライブで。そのあと、デンバーに飛んでトラヴィス・スコットを観て、ロスに帰ってきてディズニーランド・パークやらユニバーサル・スタジオ・ハリウッドに行って。もう1回デンバーに戻って、P!nkを観て帰ってきた感じで。新しいものに触れて、今後のライブの足しに出来ひんかなって感じで。向こうのフェスって、物販から何かから明るいんですよね。芝生もピンクみたいな。なんでこんな可愛いのと思って。すべてがカラフルで、そこにいるだけでハッピー。正直なところ、ビール1杯2,500円、水1本買うのに1,600円っていうのは、金銭的にはきつかったですけどね(苦笑)。でも、違う世界線が見られたので、行ってよかったなって思います。
――そして、カラフルな印象となった最新作『UNICORN』は、約2年ぶりとなる19枚目のフルアルバムとなりました。
倖田:自分のなかでは『WINGS』もアルバムの気持ちだったんです。でも、6、7曲だと配信の時代ではシングルともアルバムとも呼んでもらえず、EPと呼ばれる感じで。自分のアルバムを検索したとき、『WINGS』がなくて騒いでたら「EPです」って言われて。「EPってなんなん!」って(笑)。曲数が足りなかったみたいです。
――ツアーの主軸になった作品ですもんね。ちなみに、アルバム制作に取り掛かり始めたのは、いつ頃ですか?
倖田:今回、カバー曲が入っているんですけど、これ関しては1年以上前から作業していて。当時、DAMのカラオケをスタジオに入れて、“倖田來未スナック”みたいな感じで「あれを歌って!」、「私はこれが歌いたい!」とか話しながら、みんなの前で歌い続けたことがあって。そこから「あの曲のテンポを落としてみたらどうなる?」など試行錯誤しながら、楽曲を絞りこんでいって。10曲くらい候補曲が出たんです。でも、アレンジや許可取りなどがあって、気づいたら5曲しか作れなかったの。
――なるほど。
倖田:自分のモットーとしてもただのカラオケになるのは嫌やったし。倖田來未にとってカバーって、やっぱり切っても切り離せない位置にあって。「キューティーハニー」に始まり、ラッツ&スター「め組のひと」やCOMPLEX「BE MY BABY」もそうやし、いっぱい歌い継がれているからね。一方で、オリジナルの倖田來未の大事な部分もあるんで、「シングルで出してきた曲は全部入れようよ」って話になって、アルバムへと至りました。
――『UNICORN』というタイトルになったのは、どうして?
倖田:きっかけのひとつは、前回のツアー『KODA KUMI LIVE TOUR 2023 ~angeL&monsteR』をやっていたなかで、ツアーの“なぜエンジェルはモンスターになったのか?”っていう物語をこのまま終わらせたくないと思ったから。なので、今回のツアー『KODA KUMI LIVE TOUR 2024 ~BEST SINGLE KNIGHT』を観ていただいたら、UNICORNというワードが出てきたカラクリが見えてくるんじゃないかなって。もうひとつは、カラフルなアルバムが出来上がったから。私はUNICORNに対して、虹色のような空想の動物のイメージがあるんです。今作は、今井美樹さんの世界観を崩さずに歌った透明感のある「PIECE OF MY WISH」だったり、Bonnie Pinkを黒っぽいイメージで表現した「Heaven’s Kitchen」だったり、もちろんオリジナル曲だったり、カラフルな1枚になったので『UNICORN』というイメージがバシッときたなと。
――アートワークもピンクの砂が鮮烈ですよね。倖田來未らしい!
倖田:UNICORNって空想の生き物なので、当たり前の色でやりたくないなって。砂漠=茶色、ベージュみたいなのは嫌やなって。不思議の国にいるイメージというか。“倖田來未の世界観にいるUNICORNだったら、こういう砂漠にいるんじゃない?”みたいな感じで作らせていただきました。黒い衣装のほうは、ソリッドでかっこいいブラックユニコーン。もうひとつは、メイクもけっこうキラキラさせてキュートな感じで撮影しました。
――1曲目の「UNICORN [Introduction]」は、バリバリなエレクトロですね。
倖田:もともとは10曲入りのアルバムだったんですけど、ライブの内容や演出を考えていくなかで、せっかく“24K”や“24時間”といったいろんな意味がある24年目やから、24っていう数字を入れたイントロを作りたいと思っちゃったんです。
――あ、なるほどね。
倖田:自分のなかでマークするわけじゃないですけど、「『UNICORN』を出した時期が24年目だったんだよ」って刻印するためにも1曲仕上げたいなって。ただ、動き出したのが納品1週間前とかで。KENちゃん(夫のKENJI03)に「ごめん。イメージは出来上がってるから、こういう風に3日で仕上げてほしい」って伝えて、3日で仕上げてもらって、歌詞書いて、レコーディングして、翌日納品でマスタリングみたいな。バタバタだったけど、ギリギリ納品することができました。けっこうメロディーを詰めこんできたから、Hi-yunkさん(夫のプロデューサーネーム)に「これって続編もあるんじゃないの?」って言ったら、本人も「オーダーがあればいつでも作りますよ」とのことだったので、もしかしたらフルバージョンも出来上がるかもしれないですね。
――あれだ、「BLACK WINGS」的なその後の進化、発展系が見えますもんね。
倖田:そうそう。
――2曲目がBonnie Pink「Heaven's Kitchen」のカバーという。しかもめっちゃかっこいい。
倖田:原曲が可愛らしかったので、どういう風にしようかなと思っていたら、Hi-yunkが「僕に考えがあるから、1回作ってみてもいい?」って。誰にアレンジを振るか選定しているタイミングだったのでお願いしたら、めっちゃかっこええのがあがってきて「これでしょ!」って。即答というか、バチッと決まりましたね。倖田來未の低音が活かされたキー設定になってますし、ハードな面を思いださせてくれる自信作でございます。
――まさにカラオケ感なく、自分のものにしているなと思いました。
倖田:しちゃったよね~! って言っていいのかな(笑)。「大好きな曲だからこそ、リスペクトを持って生まれ変わらせたい」という想いを、すごくいい形で実現できたかなと思います。
――3曲目の「Vroom」は、勢いあるハードな倖田來未らしさを体現したナンバーで。
倖田:オートサロンのテーマソングとしてお話をいただいたので、車に乗る方たちに気に入ってもらえる曲を作りたかったんです。幕張でやったイベントでも、絶対に歌いたかったですし。コンペで楽曲を選んだら、エイベックスっぽい四つ打ちみたいなハウス曲がいっぱい集まってきたんですよ。「う〜ん、今の倖田來未がやるには違うかな?」って思っていたら、1曲だけ「このビートだったら今っぽいから、倖田來未にもいいんじゃない?」ってトラックがあって。なんとそれが、うちの旦那やったんです(笑)。最終的には「ここでかけあがりたい!」とか「違うねん。そっちじゃないねん!」とか話し合いながら、一緒にブラッシュアップしていきました。
――旦那が作家だと、とことん突き詰めて作れる好例ですな。
倖田:そう。とにかくイントロにこだわって、車に乗ったときにテンションがあがるナンバーへと仕上がったかな。歌詞も車のことだけを思いながら書きました。
――続いてはまさかのジュリー、沢田研二のカバーで「TOKIO」ですね。
倖田:みんなと盛り上がる感じでやりたかったので、もともとは原曲に近いアレンジをオーダーしていたんですけど、懐かしい感じというか。2024年にはちょっと違う感じで上がってきたんです。
――寝かしごろがいいカバー曲だと思います。軽快なエレポップなアレンジも含めて。TikToKにも合いそう。
倖田:家族と行ったサファリパーク帰りの車のなかでシャッフルで流れてきた曲を聴いて「跳ねてる感じにしたらよくない?」って思って。原曲で描かれているのは1979年の東京なので、2024年の今なら高速で走って頭上にはドローンもいっぱい飛んでいるネオ東京なイメージにしたらどうやろかと。
――いっすね。
倖田:それで、ストレートに“トーキーオ”っていくんじゃなくて、跳ねてリズムを崩す感じにしてみたんです。リズムを崩して大丈夫か、ちゃんと許諾を取って。横にいたHi-yunkに「話を全部聞いてたんやから」って言ってアレンジしてもらいました。間奏にはヴァン・ヘイレンちゃうけど、ちょっと懐かしい感じのするギターも入れながら、すごくいい感じに出来上がったと思います。
――続く「Silence」は、深いテーマ性へと向き合いながら、人を許せる境地への葛藤が垣間見えて。
倖田:そんな優しい人に見える? ありがとうございます(笑)。この曲は映画『ゴールド・ボーイ』の主題歌のお話をいただいて、作品の台本やら脚本やらを見せてもらいながら、いろいろ構築していきました。めくりめくサスペンスでもあり、本当にすごい映画なんですよ。実際、観たらグワーッって引きこまれる凄い作品で。主題歌は映画の一番最後に流れると聞いていたんで、楽曲で救いの手を差し伸べたいと思いました。血がぶわーって吹き荒れるし、「こわっ!」って感じのシーンも多いんですけど、ラストはこの曲でどこかあったかい気持ちになってもらいたいなと。
――うんうん。
倖田:なので、犯罪を犯してしまった子に対しても「反省して前向きに生きていこうよ」くらいの気持ちで書いたんです。そしたら監督に「許しすぎたら、だめです」と言われて。とはいえ、倖田來未のバラードって、最後の最後にはちょっと救いの手を差し伸べるスタンスだから、前半は「そんなんでいいの?」という葛藤を描き、最後には包みこむ形になるように相談させていただきました。結果的に案を4つも5つも出して、監督に「こことここを使いたいです」みたいに選んでもらい、それをドカーンとまとめて歌った感じで。最終的に、映画が素敵に仕上がればいいなと思って作りました。
――歌声もすごく優しいですよね。
倖田:先入観なく、色眼鏡なく聴いてもらいたいと思ったので、倖田節を抑えこみましたね。いまだ倖田來未のパブリックイメージは、「キューティーハニー」が拭いきれてないんで、あまり「倖田來未や!」ってバレたくなくて。「すごくいい曲だね」って曲を聴いていて、エンドロールのクレジットを観て「えっ、倖田來未やったんや!」って知るくらいでいいなと。
――奥ゆかしい。でも、気持ちわかります。
倖田:5年前の私だったら「この声は出ません!」って言って、楽曲をキャッチ&リリースしていたと思うんです。「これ歌いたい!」と思ってキープすんねんけど、いざ歌ってみたら難しすぎて歌えへんとかあんねん。仮歌さんの優しい声だと片思いの曲やのに、自分が歌ったらどす黒くなっちゃったり、不倫の歌にしか聞こえへんとかありがちで(苦笑)。でも、最近はコツコツとボイトレをやってきたかいもあって、こういう優しい曲も歌えるようになってきました。
――めっちゃ合いますよ。
倖田:ありがとうございます。成長したというか、振り幅が広がったように思いますね。映画の試写会以降、まだ歌えてないのでライブでやれるのがすごく楽しみです。
――続く「UFO」は、ピンクレディーのカバーですね。これもまた、アレンジが絶妙で驚かされました。
倖田:そうなの。「UFO」の振り付けを思い描きながら、「みんなで踊りたいな」くらいの感じで選んだんですけど、BPMをあげたり落としたり仮歌を歌っていると「あれ?」と。すっごくテンポを落としたら、「倖田來未っぽく、エロかっこよくなるんじゃない? エロ「UFO」になるんじゃない?」ってとなり、テンポを下げて大人っぽく仕上げました。作っているうちに方向性がどんどん変わって、「これが倖田っぽいよね」というところまで模索しながら落ち着いた楽曲です。うちのディレクターが「こういうのをやったらいいんじゃない?」とアイデアをくれたので、すごくナイスでした! 倖田來未の声にこんなにハマると思っていなかったので、早くライブで歌いたいです。
――そして、続いてが「We are FIGHTERS」。
倖田:『UNICORN』の収録内容を振り返ったときに、「もう1曲くらいダンス曲を入れたいな」って。もともとは「UFO」や「TOKIO」が踊る曲になる予定やったんですけど、違うテイストに仕上がったので。そこで、お久しぶりですということで、お蔵から引っ張ってきたのが「We are FIGHTERS」。実は大昔にレコーディングしたこともある、ずっとキープしていた曲なんですけど、そのときは「なんか今じゃないな」って感じやって。でも、「戦っているときは一人じゃなくて、私も一緒にいるよ。一緒に戦おうよ」というストーリーを思いついて仕上がりました。
――シングルヒット曲『Trust・Last -TYPE K-』は、『仮面ライダーギーツ』の主題歌であり、湘南乃風とのコラボ楽曲をソロアレンジしたものですね。
倖田:湘南乃風とのバージョンとはいい意味で差別化できたらいいなと思いながら、歌わせてもらいました。「WON’T BE LONG」のカバーもそうなんですけど、コラボしたときって一人バージョンも作っていて。なので「録っておこうか」って感じでやったんですけど、息継ぎするところがなくて、めっちゃしんどかった! 5人用に作った曲やから「ラップも早いし無理~」みたいな。ラップも得意じゃないし、最初はどういう風になるのかと思ったけどね。でも、かっこよく完成したなと。
――次が、今井美樹さんのカバーで「PIECE OF MY WISH」。世紀の大名曲です。
倖田:名曲ですよね。私は「PRIDE」よりも「PIECE OF MY WISH」なのよ。カラオケやオーディションで歌った、思い出の詰まった大好きな曲なんです。もともとは、メロディーラインをもうちょっと淡泊なR&Bに作っていたんですけど、本当はドラマティックな曲なのに冷めちゃって。もうちょっとエモい感じにしたかったたので、だいぶ引き算、引き算、引き算ってして、もっと盛り上がる感じに作っていただいたラストも「盛り上げなくていい、これで十分」って、また引き算、引き算、引き算って仕上げました。許可取りの関係で、原曲に関わられているみなさんにレコーディングした音源を送っているんですけど、作曲された上田知華さんが2年前に亡くなられたらしいんです。関係者の方から「倖田さんによって、この曲が再び聴いてもらえて幸せです。ありがとうございます」といった旨のお手紙をいただいて。この曲を、新しい世代の方に伝えられると思うと嬉しいです。
――歌っていくなかで、特にこだわられたポイントは?
倖田:これまた、倖田來未節を抑えこみました。知らない世代には倖田來未節があってもよかったと思うんですけど、原曲を知ってる世代の方にはこれくらい透明感のある方が、より入りこんでいただけるかなと。優しく仕上げました。
――続いて、これまたなるほどと膝を打った選曲でした。中山美穂さん「遠い街のどこかで...」のカバー。
倖田:ちょうど1年前くらいにBillboard Live TOKYOへ、ミポリンを観に行ってご挨拶させていただいたんです。そのときには、カバーはまだ決まってなかったんですけど、ライブを観たことで「私もこの名曲を歌いたいな」って思って。中山美穂さんも、やっぱり自分のルーツのアーティストなんですよ。私のお母さんが松田聖子さんやミポリン、山口百恵さんとかを聴いていたから、私も1980年代の楽曲が大好きで。90年代に入ると、ドラマで流れてるのをきっかけに、自分でもどんどん聴き始めて。歌いたい曲ばかりで「こっちの曲のほうがいいんじゃないか?」といろいろ悩んだんですけど、最終的には「遠い街のどこかで...」になりました。倖田來未って、切ない失恋ソングはいっぱいあるんですけど、片思いしている彼女が好きな人と会えるようなドキドキした曲ってなかったんですよ。そもそもクリスマスソングもあんま無いですし、クリスマスの時期にこういう曲を歌えたらいいなと思って。
――聴いたら胸がワクワクする、誰もが好きな直球のラブソングですよね。
倖田:そうなの。世界観を崩したくなかったので、ミポリンの作品を手掛けている武部聡志さんにご連絡を差し上げて、武部さんに全面協力していただきました。
――そしてラストが、ライブが待ち遠しくなるダンサブルなポップチューン「Let's fight for love!」ということで。
倖田:やっとこさ盤にしてもらえて、“おめでとうございます!”みたいな感じですね。『イケメンシリーズ』っていうアプリゲームの海外向けキャンペーンの主題歌で、「勇気を出して恋をしてくれ!」なんて思いをこめて作った曲です。恋って学校では教えてもらえへんようなことを教えてくれるからね。恋の痛みとか傷つきとか悲しみとか。「失恋したから、次の恋へは行きません。私は、もう傷つきたくないです!」なんて言ってるやつは、バカ野郎って話で。私はファンの子にも、よく言うんです。運命の人を見つけるための途中経過だから、経験値をあげるような恋をどんどんしてねって。ライブで歌わせてもらうのも楽しみですね。本当にキャッチーで、盛り上がること間違いなし。みなさんにタオルを回しながら歌うイメージに仕上がっていると思います。
――アルバム『UNICORN』は、倖田來未さんにとって、振り幅を広げ、新たな入り口となるようなポジショニングを築く1枚になった気がします。
倖田:オリジナルの新録が増えたら、また違ったアルバムになっていたと思うんですよね。今回は書き下ろしが「UNICORN [Introduction]」と「We are FIGHTERS」だけで、あとはカバーとすでに配信されていた楽曲なので。最初はもっとダンス曲も入って来る予定やってんもん。でも、結果的にバラードが増えて。カバーの5曲にはいい景色が降りてくれたんで、よかったなって感じ。
――毎度だけどカバーの選曲が、とてもいいなと。
倖田:倖田來未は、王道を行きすぎないクセがあるので。誤解を恐れずにいえば、「勝手にしやがれ」いかんと「TOKIO」いくんかい、とか。「PRIDE」いかんと「PIECE OF MY WISH」いくんかい、とか。それが倖田來未なんかなって。王道らしいところに行かないのが、らしいのかなって思いますね。まだまだやりたい曲があんねんな……。工藤静香の「めちゃくちゃに泣いてしまいたい」もやりたいし、松田聖子さんの「Marrakech~マラケッシュ~」とかね。
――おおお、聴きたいです。そして、今回もアルバム特典にはメイキング映像やフォトブックが付くんですよね。
倖田:ミュージックビデオの撮影現場やオートサロンで初めて「Vroom」をパフォーマンスしたときの裏側とか、『UNICORN』のジャケット写真撮影日とか。1時間パンパンにメイキングが入っているので、せっかく手にとっていただくなら、メイキング入りの特別バージョンも候補にしてほしいですね。
――そして、4月からは全国ツアー『KODA KUMI LIVE TOUR 2024 ~BEST SINGLE KNIGHT』が始まるということで。テーマはシングルヒットという。
倖田:日替わりでやろうと思っているパートが2つほどあるんですけど、本編で違う部分があっても面白いのかなって考えています。もともと4時間半くらい考えてたセットリストを、やっと2時間10分まで縮めこめまして(苦笑)。ただ、やむなくカットした曲もあるので「なんであれを無くしちゃったんですか」というスタッフも出てくるんですよ。「じゃあ、この曲をカットしよう」というと、「あの曲も入れなくていいんですか」と別のスタッフがいう。増えて減って、増えて減っての繰り返しで、大変です。助けてほしいわ(笑)。