KODA KUMI Official Interview

倖田來未が最新Music & Live Package『WINGS』を2023年1月18日にリリース。本作は、バラードとなった先行配信曲「Wings」、息苦しい世の中へ向けて一撃を食らわす「Trigger」のミュージックビデオをチェックすればわかる通り、天使と堕天使= “翼”がキーワードとなっている。よりプリミティヴに愛の造形のコアへと迫った全6曲と、CDパッケージにおける自身初となるフルオーケストラ公演『billboard classics KODA KUMI Premium Symphonic Concert 2022』でのライブ映像(DVD / Blu-ray)を収録。3月からスタートする全国ツアー『KODA KUMI LIVE TOUR 2023 ~angeL&monsteR~』を控えた倖田來未に、創作秘話を訊いてみた。
取材・文:ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)

――最新ミニアルバム『WINGS』はタイトル通り、先行配信された「Wings」と「Trigger」のミュージックビデオで表現された天使と堕天使みたいな、“羽”を共通としたテーマ性があるのかなって。

倖田:ことを巻き戻すと、2020年のコロナ禍のときに、ライブができない、レコーディングスタジオにも行けない、でも歌いたい、どうしたらいいの?ってなったときに、自宅のレコーディングスタジオで旦那さんにディレクションしてもらいながら作ったのがアルバム『angeL + monsteR [MY NAME IS...]』だったんです。

――光と闇をテーマとしたコンセプチュアルな作品でした。

倖田:コロナ禍でツアーというものができず、『KODA KUMI 20th ANNIVERSARY TOUR 2020 MY NAME IS ...』という20周年ライブはやれたんですけど、もどかしくて。あと最近は、コンセプチュアリーなライブをしてないよねということで、3月からの全国ツアー『KODA KUMI LIVE TOUR 2023 ~angeL&monsteR~』で『angeL + monsteR [MY NAME IS...]』と『WINGS』の曲をコンセプトを決めて歌うことにしました。『WINGS』には、もう何曲か入れたかったんですけど、曲数が多すぎるとツアーで歌えない曲も出てきちゃうじゃないですか? だから、『WINGS』は曲数を調整して、それでツアーをやりましょうよっていうのが、半年以上前から決まっていて。天使にも堕天使にも“羽”はある、心もある。見た目は違えど、みたいなことをコンセプトに考えていました。

――なるほどねえ。

倖田:あと、おっしゃる通り「Trigger」と「Wings」のミュージックビデオは天使と堕天使を表現しています。今回、3月から始まるツアーが昼が『monsteR』で夜が『angeL』っていう感じでやろうと思っていて。その2大巨頭なアイコンじゃないですけど、ティザーになるような映像にしたいなと「Wings」と「Trigger」の映像を撮りました。

――おお、なんかもう完璧ですね。めっちゃ考えられている。

倖田:そうなの。点と点が全部つながったんですよ。それこそシングルのタイトルが(ミニ)アルバムに付くことも初めてだったし、でも腑に落ちたというか。ていうか、倖田來未のイメージもあるやん? 見た目が派手だけど、中身はけっこうカワイイ天使やん(笑)。そういうところにもやっぱり繋がっていくといいますかね。

――アートワークもめっちゃキュートな。

倖田:でしょ? めちゃくちゃ綺麗に撮れました。今回、40歳になって一発目の作品になるから、『KODA KUMI LIVE TOUR 2023 ~angeL&monsteR~』っていうツアーをやるから、『monsteR』バージョンの写真もあったんです。なんですけど、ミニアルバム『WINGS』の1曲目に「Wings」を持ってくるところもあるし、どれもジャケット写真は“angel”に統一して、中ページで楽しんでいただきましょうということになって。40歳になってもいい年のとり方をしているなぁとファンじゃない方にも見てもらいたかったし。そういうのもあって、こっちを推させていただきました。

――ブックレットの中身は、よりコンセプチュアルに楽しめるという。

倖田:ガンガンに攻めた倖田來未さんがいらっしゃいます、中ページには。

――「Trigger」の映像もパンチがありました。

倖田:かっこよかったでしょ? 「Trigger」の…また全然違うっていうか、黒い衣装でウィッグを被ってハードなかっこいい倖田來未がいますんで。こうご期待。

――では楽曲について伺います。8月に配信シングルとして、「Wings」を先行配信されました。Music & Live Package『WINGS』でも1曲目に収録されています。

倖田:もともとのきっかけは、『イケメンシリーズ』っていうゲームアプリがあって、それが10周年のアニバーサリーで、そこのスタッフさんが倖田組(※倖田來未ファンの意)なんですよ。それで、満を持してオファーをいただいて作りました。それこそ、自分で去年の12月6日のチケットを取って、ライブに来てくれて、ずっとも応援してくださっていて。
倖田:30代の子でVtuberもやってて、自分も表に出てみたいな子なんですけど。オファーしてきてくれて。ゲーム自体、10年間続いているのでいろんなコンセプトがあって。もともと「You’re So Beautiful」なイメージというのがあったんですよ。「倖田來未でいうと、こういう世界観がいいです!」って。デモテープを集めまして、3曲くらいに絞って聴いてもらったところ「『Wings』がいい!」ってなって。今までの倖田來未にはない優しい声と、ローと言いますか“君の声が”って低いじゃないですか。低いところからあえて柔らかい高音が出てくるっていう。

――聴き処ポイントですね。

倖田:倖田來未って低音が売りどころではあるんですけど、高音になると力む癖があって。だけど、今回は旦那さんのHi-yunkが書いた曲であることもあって「優しい高音で歌ってほしい!」みたいなリクエストもあり、ディレクションしてもらって。たぶん倖田來未至上一番優しい、包み込むようなミディアムバラードになったかなと思って。新しい声を引き出してくれました。

――うんうん、スーッと入っていける。

倖田:クセをあんまり入れんかったというか。

――Hi-yunkさんとは、どんなお話をしながら?

倖田:もともとコンペやったんで通るかわからなかったんだけど。彼曰く、倖田來未の今までの良さ、低音の部分と。そして、新しい倖田來未の両方を掛け合わせた曲を作りたいと言ってくれて。それで低音から始まって高音を柔らかく歌ってもらうっていう。

――「Everything’s gonna be all ok」というフレーズがすごく耳に入ってくるなって。すごくキャッチーさも意識して作られているなと。

倖田:「満を持して飛び立ちます!」って力むのではなくて「あたしたちがいるから大丈夫やって」って一緒に飛び立つような。そういう曲にしたかったのもあるし、この翼っていうのを人生と置き換えて書いてるんだけども。みんなにはいろんな翼があって、いろんな人生があって。でも、飛び立つ勇気がない。かりそめの自分の翼なんて……。例えば見た目でもそうだし、自分の仕事の実力も含めて葛藤している人に、この楽曲で「すごく綺麗な翼を持っているみんなが、勇気を持てないんだったら自分の音楽で少しでも羽ばたけるように倖田來未が背中を押したいな。」というメッセージ性も込めています。逆に言えば、私もファンのみんながいるから飛び立てるみたいなところがあるから。みんなの素敵な人生、翼を羽ばたかせてほしいという願い。もし自信が持てないなら、この曲を聴いて飛び立とうみたいな応援ソングでもあるんですよね。

――まさに1曲目にふさわしいナンバーです。

倖田:倖田來未って、ドカンって曲がだいたい1曲目にくるので、優しい曲から始まるのは珍しいかもしれません。

――2曲目の「Hello Yesterday」は、ストリングスが爽快なめっちゃいいポップソング。“泣き出しそうな夜に 願い込めた フィルターから見た世界なら 少し本当の気持ち 言えるように”のフレーズがグッときたんですけど、聴く人によってはいろんなイメージの映像が浮かびますよね? 

倖田:実は、1月公開のNHK林真理子さん脚本によるドラマ『我らがパラダイス』の主題歌なんです。スタッフさんがけっこう音にこだわりを持ってらっしゃるチームで、いろいろやり取りを重ねて出来上がった楽曲でした。たとえば「お金持ちだからって幸せじゃない」っていうようなメッセージってあるじゃないですか? 私もいつも思うんですよ。心が貧乏になりたくないなって。なので「Rich&Famous」という曲を書いたり。与えられた環境って、なかなか変えられるわけじゃないし、生まれなど変えられない事実じゃないですか? そんな現実があったとしても、人と人とのぬくもりで明日へ向かっていくっていうドラマなんですよ。人情溢れた作品で。初めは、コメディー・サスペンス・ヒューマンドラマって聞いていたいたんですよ。どんなんやねん! と。

――ははは(笑)。

倖田:でも、台本を読む限り私は「すごくヒューマンドラマだなって」。人間模様をすごく書いてあるなと思って。自分のなかでは「最後にすごくハートフルに落ち着くドラマだな」と思ったから、ドラマに寄せて作らせていただきました。っていうのと、もともとこの「Hello Yesterday」って、これも主人が書いた曲なんですけど。仮タイトルだったんですよ。でも、「Hello Yesterday」ってタイトルはおかしい言葉だけど、終わった過去に対して「こんにちは!」っていうのは面白いと監督が言ってくれて。コーラス部分にもそこのワードを入れているんですけど、昨日の自分、失敗した自分にも「こんにちは!」って笑顔でいられるような自分でいたいし、そんな昨日を過ごせていたら素敵だなって。

――ほんと素敵ですね。

倖田:いろんな思いがあって。もしかしたら旦那さんは違和感みたいなところが面白いって付けていたかもしれないんだけど、私は「昨日の自分に笑顔で過ごせるように今を生きたい!」みたいな想いへとたどり着いて書かせてもらったんですよね。今言ってくれた“フィルターから見た世界なら 少し本当の気持ちを言えるかな”っていうのも、現実を直視するとすごく悲しく思ったりするけど。ちょっとした携帯のレンズやったり眼鏡やったり、なにかを挟むことによって、ちょっとした光の角度が変わることで見方を変えられるんじゃないかなって。たとえば、一生懸命傷だらけになって、当事者からは血だらけで痛いかもしれんけど、周りから見たら「すごい頑張ってるよね!」って映ったりすると思うし。角度の違った見方ができたら楽になれるのかなって。

――人生に、そして気持ちに寄り添った、めっちゃいい曲になってますよね。あと、ストリングスの使いかたが絶妙で。

倖田:それこそKENJI03(Hi-yunk)のバンド仲間やった宮田“レフティ”リョウさんっていうのがいるんですけど。

――あ、宮田さんってバンド仲間だったんだ?

倖田:彼は彼で、avexでデビューしてるんですけど。今はOfficial髭男dismとかのバンマスをやっていて。宮田リョウがイトヲカシ時代にケンちゃん(Hi-yunk)とよく対バンしていて、当時から仲がよかったんです。この曲を作るにあたって「リョウと何かできたらいいな」って電話して、家の近所のスタジオにいるというので挨拶しにいって。「倖田です。時間ないと思うけど〜」って相談したら「やりましょう!」って。ケンちゃんと共作したのが、この「Hello Yesterday」。AメロとかBメロとかね、ストリングスに合わせてメロディーも変えて。

――倖田來未的にも、新しい要素が曲で表現されていて。

倖田:そう。リョウとやるんやったら、今までの倖田來未にないアプローチでやりたいって言ってて。すごくいい出会いで。人間的にも素晴らしいし、またお仕事したいなって。

――この「Wings」と「Hello Yesterday」でピュアな流れがありながら、3曲目は一気にダークテイストに包まれた「BLACK WINGS」というインタールード。ミニアルバムなのに、ここでインタールードを入れてくるんだなって。しかも、けっこう歌ってるし。

倖田:そうなのよ(笑)。これもツアーのティザーちゃうけど、ちょっとガラッと世界観を変えたいときに、雰囲気を打ち出したいなって。これも旦那さんに「作ってほしい!」ってお願いして、でも煮詰まりまして。「今までのインタールードは、こんなんですよ!」っていっぱい送ったんですけど、同じことはできないじゃないですか? じゃあ、どのアプローチで倖田來未をやろうかって。倖田來未にやってほしい僕の思うサウンド、みたいなところで追い込んでくれた感じ。

――ライブにも映えそうな。

倖田:早速、ライブ解禁映像にも使ったり。ツアーのキャッチーフレーズに近い、いい音だったので。

――1曲目が「Wings」でありながら、インタールードが「BLACK WINGS」。ここでも“羽”をキーワードに匂わせていくという。

倖田:“BLACK WINGS to the SKY”ってセリフも入れてんねんけど、それも黒い翼が空をかけるような意味で。「堕天使だけど誰よりも高く飛べるんだぜ!」っていうメッセージも込めたかった。追い追い、フル尺も作りたいなと。

――それができる楽曲展開ですよね。58秒なことにびっくり。そして、ここから4曲目「Trigger」にいくのが、ミニアルバムながらコンセプチュアルな構造ですね。「Trigger」は、息苦しい世の中へ向けて、強烈な一撃をミドルにじんわり食らわせるナンバーだなと。

倖田:1年以上前から「この曲を歌いたい。でも、シングルにするにはちょっと弱いかな?」と思ってしまって、アルバムのタイミングを見計らってました。というか、ツアーでどうしてもやりたいから「ストックしておいて!」って、ずっと温めていたナンバーなんです。『KODA KUMI LIVE TOUR 2023 ~angeL&monsteR~』ツアーをやるって決まったあとのレコーディングだったので、わりとモンスターを表現できそうなワード、“蜘蛛の糸”や“暗闇”、“爪を立てて傷つけて”や“弱さに牙”とかどんどん入れていった歌詞なんですよ。

――曲展開的に、中毒性の高い曲に仕上がってますよね。

倖田:大好きで。自分の弱い部分、たとえばSNSの時代だったりとかして、見なきゃ傷つかへんかったのに見てしまったとか、言わなくてよかったのに傷つけてしまったとか。そういう自分自身で自分を傷つけることに気がつけない人がすごく多いのかなと思っていて。だけど、ダイエットもそうですけど、食べたらアカンと言われていたのに食べてしまったとか。そんな弱い自分自身を暗闇のなかで打ち砕きたいみたいなイメージがあって。“Pull the Trigger”、打倒したい!みたいな。弱い心をかっこいいサウンドに乗せて、最後は笑いたい!というかね。そんな曲なんです。

――リスナーにとっても日常のなかで重要な曲になるんじゃないかな。

倖田:なってほしいですね。

――日常のふとしたときに頭の中で流れるなって。

倖田:だから、普段は絶対にしない“ああ”って声を、もともと2,3本録っていたんですけど、1本にして。主メロから“Pull the Trigger”になった瞬間に、ボーカルを3倍くらいあげているんですよ。本来だったら曲のなかで(レコーディング時の)波形がおかしくなるから絶対にやらないんですけど。表現している声を耳に焼き付けてほしかったから、大胆ではあったけど思い切って感覚でぶち上げました。日本人って波形を見て「ここまでいったら行きすぎやな」とかあるじゃないですか? そうじゃなくて感覚でいこうって。スタッフさんとは「こんなにあげんの?」ってなってたんですけど、そんな作り方もいいんじゃないかなって。結果論、よかったから。やっぱり感覚でかっこいいものを作るっていうのは、ありだねってチームでまとまりました。

――いい話だ。続いて5曲目は「Heaven Tonight」。令和版、アップデートされた倖田來未流のシティ・ポップなのかなって。

倖田:シティ・ポップに聴こえた? ありがとうございます。

――シティ・ポップって懐古的なイメージがあるけど、これは先に進んでいるタイプの曲だなって。

倖田:シティ・ポップって本当に80年代とかのさ。今の子たちにウケているのかなって。私が通ってないからこそ、やりたいっていう気持ちがあって。今風のシティ・ポップになってるならよかったと思って。私的には、このデモテープを聴いたときに、うちのスタッフさんには「本当にこれですか?」って言われたんですよ。でも、こういう曲をやってみたかったので「トライしたい!」って言って。

――アルバム曲だからこそ、新しいテイストを感じられて面白いなと。歌詞も、独特の気持ちの伝え方を感じました。

倖田:お花屋さんの友達がいて。実は、この曲の歌詞を書く何日か前に亡くなったんです・・・。あたしの家で花見をする日とかに桜を持ってきてくれたり。これまたね、めっちゃ仲よかった子だったんですよ。亡くなって、ぼっかり穴が空いちゃって。友達が亡くなるって初めての経験やったから。だから、ぽっかり穴が空いたときに、「天国にいってほしい!」という想いがあって。

――ああ、そんなことがあったのですね。ライトなポップソングにも聴こえました。

倖田:そうそう。お友達ですけど彼とデートしてる、みたいなイメージな曲に敢えてしたくって。お花屋さんやから、彼は大きい花束を持ってきてくれてて、デートしてるみたいな。「Heaven Tonight」っていうタイトルも思い出というか、自分のなかの分岐点の大事なタイミングで作らせてもらった曲なので、タイトルにHeavenって使わせてもらって。歌詞のイメージのオープンカーとは真逆で、実際は作業車なので、車に乗るときは軽トラみたいな感じでしたけど。彼をまた思い出すきっかけに私自身もなればいいな思ったし。鼻歌みたいにライトに歌える感じがよかったので、キー自体もすごい低く作って。張り上げて頑張って歌う曲じゃないんですよ。もっと自然な感じで。

――そして、6曲目が「It’s “K” magic」という、オリックスバッファローズの黒木優太選手の登場曲。倖田さんファンだそうですね。

倖田:倖田組でございます。最近もうね、嬉しいことに多くてね。みんな世代が大人になって、活躍するようになった子らがいて。これも曲を使いたいって直談判されて。

――もともと、倖田來未の曲を使っていたり?

倖田:そうなんですよ。「Guess Who Is Back」を登場するときに使ってくれていて。一時期一軍から二軍に落ちたんですよ。それで「倖田、喝をいれてやってくれ!」ってタムケンさんから連絡が来て。「あんた頑張りや!」とかいうて。そしたら「頑張りまーす!」って本人が言ってくれて。それで「もし一軍にあがることになったら、來未さんの曲を使いたいから曲を作ってほしい。そのために頑張る!」って言われて。それで、じゃあ作るわ言うて。

――歌声の表情が豊かですよね。

倖田:そうですね。だからちょっと、なんて表現すればいいんですかね。力んだ倖田節というよりかは、K-POPチューンというか、カワイイ女の子が歌ってるように聴こえるフレーズ。

――倖田來未、可愛いですけどね。

倖田:ありがとう(笑)。なので、軽く歌う感じを意識していて。バンバンって言ってるけど、“Boom baba Boom bibi”っていうと低い。ちょっと高低差をつけたかったので、歌い方のキャラクターはひとり何役もやっているって感じかな。

――楽曲のなかで、クールかつホットな感じですごくエモい作品になっているなと。黒木さんの感想もあったんですか?

倖田:「めちゃくちゃかっこいいです!」っていただいて、一軍戻って登壇するときにタムケンさんが観に行って、登場シーンを送ってくれて。「來未ちゃん流れてるよ~! 倖田流れてんで~!」みたいな感じで、動画を送ってくれて感動しましたね。

――スポーツに交わる曲は、やはりテンションあがりますよね。

倖田:アスリートの人と私たちの違いは、アーティストのミスはエンターテイメントに変わることがあるけど、アスリートの人のミスは致命傷になるから。その一瞬のタイミングにすべての力を出しきらなきゃいけないっていうところを尊敬していて。私なんかライブでも「なんぼほど歌詞を間違うか」ってくらいミスをするんですけど(笑)それをファンの方が喜んでくれたり、支えてくれたり。ミスはフォローもできるし。でも、そこをアスリートは有言実行し続けなきゃいけないじゃないですか? それがアスリートのすごいところやなって。リスペクトの思いをこめて作らせていただきました。

――Music & Live Package『WINGS』は、だいたい昨年2022年に作った曲の集大成になった感じ?

倖田:そうそう。1年かけてレコーディングしていた曲を集めてっていう感じで。ビシッと倖田來未っぽいやつと優しく包みこむやつと二面性があらわれた作品になったと思います。私のなかには、モンスターもエンジェルもいるんだと思うんです。『angeL + monsteR [MY NAME IS...]』と言うミニアルバムを出したときに「倖田來未のためならモンスターにでもなれる!」って言ったことがあって。出る杭ってわかっていてもパフォーマンスするときもあるじゃないですか? でも、やっぱり「これって倖田さん違うんじゃないですか?」と言われても倖田來未にとって正解だと思ったら「いや、これで正解です!」っていい放つと思うんですよ。天使と堕天使を兼ね備えているところが倖田來未にはあるんじゃないかなって。

――そこが表現できると、より振り切っていけるということなんでしょうね。そして、フルオーケストラライブの映像(※)も入ってくるということで。
※ファンクラブ・mu-mo盤には全編、通常盤にはEdit ver.を収録。

倖田:あれも大変でしたけど、自分にとっては身になった。あと、ファンの方たちがコロナ禍だったんで、なかなかこれなかったっていう方たちも多くて。ファンクラブ盤には全編入ってるから。初めてご覧になる方には「愛のうた」とか「Butterfly」とか「you」とか入っている通常盤で。みなさんご存じの楽曲のオーケストラバージョンを収録させていただきました。

――メイキングも楽しみな。

倖田:メイキングも長すぎ! 私は長いの好きなんで、逆に今までなんであんなに短かってんくらい。今回はべらぼうに長くて、1時間くらいあって。ファンのみんな的には喜んでもらえるかなって。

――では、Music & Live Packageのリリースや全国ツアーを控えていますが、2023年の倖田來未はどんな年になりそうですか?

倖田:とにかく健康でいること。これが1番大事やなと。特に、春ぐらいからはだいぶコロナが落ち着いているかもしれないから。もちろん、まだわからないけどね。なので、今こそ風邪ひかんようにするのが1番大事かなって。なぜなら、みんなに会いにいくためというか。今回もツアーは私が思っていたよりは本数が少なかったんですけど、ツアーで回るのが長ければ長いほどいまの時代リスクが高くなるので、とにかく気を引き締めて、歌うために健康でいたいなと思います。